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その他の病気

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    猫では、トータルケアが出来るよう猫風邪・皮膚科・歯科・口内炎・腎不全や甲状腺機能亢進症などの慢性疾患に力を入れて治療しております。

    猫ちゃんは環境の変化に敏感な子が多く、一度嫌な経験をすると治療を受け付けてくれなくなってしまう子もいます。当院では、なるべく猫ちゃんに負担をかけないよう、その子の性格を意識した診療を心がけております。
    なるべく通院を減らす・入院させない治療法をご提案出来るようにしています。

猫の乳腺腫瘍

猫の乳腺腫瘍は猫に起きる腫瘍の中で、造血器、皮膚に続き、3番目によく見られる腫瘍で、
大部分が老齢の女の子に見られる病気です。しかし、男の子もなる可能性があります。

猫の乳腺腫瘍は85~93%が悪性で、早期に完全摘出してしまうことが寛解
(症状が一時的になくなったり軽くなったりした状態。このまま治る可能性も、場合によっては再発する可能性もあります)への道になります。


症状

胸から下腹部にかけてのおっぱいのどこかにしこりができ、おなかを撫でている時に気がつくことが殆どです。
初期ではそれ以外の症状があることはほとんどありません。

しかし、非常に大きくなったり、潰瘍化してぐじゅぐじゅになってしまうまで
気づかないことも少なくありません。

広範囲への転移がある場合は、肺や胸膜へ転移し、食欲不振、呼吸困難、咳などの
重篤な症状がみられることもあります。
また、乳腺腫瘍に見えて、違う腫瘍であったり、皮膚病のこともあります。




診断
確定診断は、腫瘍を摘出して病理検査を行うことでできます。
しかし、猫の乳腺腫瘍の場合、術部や腫瘍の部分が炎症を起こしてしまう「炎症性乳癌」が起こる可能性があります。
これは、処置前の診断が難しく、さらに、治療は難しいとも言われています。


予後
予後を決める主なものは、腫瘍の大きさ、リンパ節に浸潤しているか、組織的に悪性度が高いかどうか、です。
大きければ大きいほど、平均余命は短くなってしまいます。
また、潰瘍がある場合その時点でリンパ管への浸潤は80%以上、局所リンパ節への浸潤は75%あると報告されています。


治療
猫の乳癌は浸潤性(その場で広がっていく性質)が高く、
また、高確率でリンパ性に進行していくので、積極的な治療(早期の外科摘出)が最も有効になります。

手術は、片側もしくは両側の乳房を上から下まで全てとってしまう方法と、
腫瘍化した乳腺とそれに隣接する組織だけをとる方法があります。

術後の寛解期間の平均は半年程度といわれています。
化学療法いわゆる抗がん剤は、手術の補助として良いと考えられます。
しかし、抗がん剤の副作用として、食欲不振、嘔吐、脱毛が起こる可能性があります。

また、手術、化学療法以外の当院で行える緩和治療、補助療法として
最近では、光線温熱科学療法、丸山ワクチン、高濃度ビタミンC療法、がんワクチンなどがあります。



乳腺腫瘍は、早期発見、早期摘出してあげることが大事になります。
なるべく猫ちゃんのおなかをなでて、腫瘍が小さいうちに発見し、治療を行ってあげましょう。