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甲状腺機能亢進症

  • 甲状腺機能亢進症について



    中高齢の猫ちゃんにみられるホルモンの病気で、新陳代謝をコントロールする甲状腺ホルモンが過剰に分泌される事で、たくさん食べるのに痩せていく、水の飲む量が増えた、性格が攻撃的になった、眼がらんらんとしている、などといった事が見られます。

    この病気は他にも、腎臓や心臓に悪影響を与えている場合もあるため、病気の診断がされたら出来るだけ全身の検査を行いましょう。

猫の甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症は甲状腺のホルモンの過剰によって起こる病気です。
犬よりも猫に多く、特に10歳を過ぎた猫に発生することが多く、品種や性別に関係ありません。


原因
原因には、甲状腺の過形成、甲状腺腫瘍、甲状腺ホルモン薬の過剰投与、などがあります。


症状
・食欲が増えるのにやせる
・飲水量が増える
・落ち着きがなくなる
・攻撃的になる
・性格が変わる
・いらいらする
・毛艶が悪くなる
・暑がる
・目がぎらぎらしている
・呼吸がはやい
・下痢、軟便
・食欲、元気の低下

などの症状が見られることが多くあります。また、血圧が高い状態になります。




正常な甲状腺は外から触ることはできませんが、
大きくなった甲状腺は首の上のほうを外から触ってもわかるようになることもあります。


診断
基本的には血液検査による全身の検査を行い、確定診断には血液中の甲状腺のホルモンの量を測定して、
ホルモンが異常に上昇していることを確認し診断します。


治療
現在主に行われている治療には外科的治療と内科的治療があります。
甲状腺のご飯によるコントロールも最近出てきました。

①内科療法
基本的に最初に選択されている治療法です。抗甲状腺薬を用いて治療をしていきます。

お薬はホルモンを調節するお薬なので、その子それぞれで代謝量が違うため要求量が変わってきます。
また、見た目でわからない副作用が出ていることもあるため、
お薬を始めてから2~3週間後に1回目、1回目の検査の数値が安定していたら一か月以内に再検査するという方法をとり、
薬の効果をしっかりと判断していきましょう。

このお薬は内服薬ですが、猫ちゃんの場合は、飲み薬を飲むことが難しい子もいます。
その場合はご相談ください。


②外科療法
外科的治療は、根本的な治療方法で、手術によって異常な働きをしている甲状腺を取り除いてしまいます。
その時の状況により、左右両方とも取ってしまうことも、片方だけの場合もあります。

甲状腺をとってしまって大丈夫??
猫の場合は、甲状腺にくっついている上皮小体は残さなくてはなりませんが
両方の甲状腺を摘出してしまっても、甲状腺機能低下症になることはないと言われています。



甲状腺機能亢進症が進行すると、本来首の上のほうにある甲状腺がどんどん下がっていき、
肋骨の中まで下がってしまうことがあります。
この場合は摘出が難しくなりますので、どのように病気に対応していくか考えていきましょう。




当院での対応
甲状腺機能亢進症はホルモン過剰で全身に影響を与えてしまう病気です。
治療過程で隠れていた他の病気が表面にあらわれてくることもよくあります(※1)ので、小さな変化でも早い段階でご相談ください。

※1 甲状腺の症状の一つとして、血圧の上昇がありますが、
それがすでに持っている腎不全の状態を隠してしまっていることがあります。
そのため、甲状腺の治療を行うと、血液検査で腎臓の数値があがったり、
隠れていた腎不全が顕在化したりすることがあります。
これは、甲状腺治療の副作用で出てしまった訳ではありません。
しかし、腎不全も甲状腺の病気と並び、
高齢の猫ちゃんに起きやすい病気の一つで、治療の必要のある病気です。
甲状腺の病気と腎不全をバランスよく治療していきましょう。


猫ちゃんの甲状腺機能亢進症は、治療を行わなければ命に係わる病気になります。
治療を行えば完治、もしくはいい状態でコントロールをすることが出来ます。
早期発見・早期治療で良い状態を保ってあげましょう。