CAT

猫の耳の炎症性ポリープ

炎症性ポリープは、
猫の耳で認められる最も一般的な
非腫瘍性の腫瘤です。

中耳炎と外耳炎を
引き起こす傾向があります。
発症に種差や性差、
年齢差はないと考えられています。

炎症性ポリープ(別名:鼻咽頭ポリープ)は、
耳管あるいは鼓室から発生しますが、
猫ではほとんどの場合で
中耳の粘膜から発生します。

ポリープの塊が腫大して
鼓室腔に充満し、
さらに成長していくと
鼓膜破裂を引き起こします。

鼓膜が破れてしまうと、
外耳道にいる細菌や酵母菌、耳ダニなどが
中耳の鼓室胞の上皮に侵入してしまい
中耳炎になってしまいます。

鼓膜を破って外耳道にまで出てきたポリープは、
急に大きくなり耳道を塞ぐほどになります。
ポリープが耳道を塞ぐと、
その後ろで中耳炎による滲出物が
中耳内に溜まってしまいます。


◆症状
主な症状としては、
耳垂れが出る、頭を振る、頭が傾く、などがあります。
症状が激しい場合には、
眼振(眼が左右もしくは上下にふらふらと動くこと)、
前庭症状(まっすぐ歩けない、
上手く歩けないなどの症状)が出ることもあります。

◆原因
何故ポリープが育つのかは
全く分かっていません。

ウイルスと細菌が関係しているとは考えられています。
感染やポリープが周囲の組織と
擦れておこる外傷などによって、
ポリープを覆う上皮が障害を受け
この過程が何度も繰り返され、
その結果として塊がさらに
大きくなっていくと考えられています。

◆検査
レントゲンやCT,MRIで
鼓室胞内に内容物が溜まっているか
確認する必要があります。
ポリープが出来ていた期間が長い場合や、
何度も繰り返していた場合、
状況によっては炎症が
内耳まで波及していることがあります。
これは症状の出方やMRIの撮影をする事で
明らかになります。


◆治療
ポリープの一般的な治療方法としては、
全身麻酔下で耳の内視鏡で
ポリープを確認したのち、
鉗子で摘出を行います。

ポリープは肉の茎が
粘膜に付着しています。

再発を防ぐには茎部を
摘出することが基本になります。
腫瘤を摘出した後は、
炎症を抑える薬を使用していきますが、
耳ダニの寄生や細菌感染、
酵母菌の感染などが見られる場合は、
その原因に対する治療を同時に行う必要があります。


ポリープの症例では、
摘出後に再発する可能性があります。
そのため経過をしっかりと
観察していくことが重要となります。

症例1 硬性耳鏡での処置

症例2 右は摘出したポリープ ※血液の付着を目隠し処理しています。