CAT
猫の乳腺腫瘍


猫の乳腺腫瘍は猫に起きる腫瘍の中で、
造血器、皮膚に続き、
3番目によく見られる腫瘍で、
大部分が老齢の女の子に見られる病気です。
しかし、男の子もなる可能性があります。
猫の乳腺腫瘍は85~93%が悪性で、
早期に完全摘出してしまうことが
根治 への道になります。
◆症状

胸から下腹部にかけての
おっぱいのどこかにしこりができ、
おなかを撫でている時に気がつくことが殆どです。
初期ではそれ以外の症状があることは
ほとんどありません。
しかし非常に大きくなったり、
潰瘍化してぐじゅぐじゅになってしまうまで
気づかないことも少なくありません。
広範囲への転移がある場合は、
肺や胸膜へ転移し、食欲不振、呼吸困難、咳などの
重篤な症状がみられることもあります。
また乳腺腫瘍に見えて、
違う腫瘍であったり、
皮膚病のこともあります。
◆診断
確定診断は、
腫瘍を摘出して
病理検査を行うことでできます。
しかし猫の乳腺腫瘍の場合、
術部や腫瘍の部分が炎症を起こしてしまう
「炎症性乳癌」が起こる可能性があります。
これは処置前の診断が難しく、
さらに治療は難しいとも言われています。
◆予後
予後を決める主なものは、
腫瘍の大きさ、リンパ節に浸潤しているか、
組織的に悪性度が高いかどうか、です。
大きければ大きいほど、
平均余命は短くなってしまいます。
また潰瘍がある場合は
その時点でリンパ管への浸潤は80%以上、
リンパ節への浸潤は75%あると報告されています。
◆治療
猫の乳癌は
浸潤性(その場で広がっていく性質)が高く、
また高確率でリンパ性に進行していくので、
積極的な治療(早期の外科摘出)が最も有効になります。
手術は、
片側もしくは両側の乳房を
上から下まで全てとってしまう方法と、
腫瘍化した乳腺と
それに隣接する組織だけをとる方法があります。
術後の寛解期間の平均は半年程度といわれています。
化学療法いわゆる抗がん剤は、
手術の補助として良いと考えられます。
しかし抗がん剤の副作用として、
食欲不振、嘔吐、脱毛が起こる可能性があります。
また、手術、化学療法以外の
当院で行える緩和治療、補助療法として
光線温熱科学療法、丸山ワクチンなどがあります。
乳腺腫瘍は
早期発見、早期摘出してあげることが
大事になります。
なるべく猫ちゃんのおなかをなでて、
腫瘍が小さいうちに発見し、
治療を行ってあげましょう。