DOG

犬の避妊手術について

避妊手術とは卵巣または卵巣と子宮を摘出する手術で、
第一の目的は繁殖能力を取り除くことにあります。


また卵巣は雌性ホルモンを産生する場所でもあるため、
ホルモンが関与する問題行動や病気の軽減にも
効果があると言われています。


◆避妊手術の利点と欠点

利点
・一部の不安行動の軽減
・卵巣や子宮の腫瘍のリスク軽減
・雌性ホルモンが関与する病気のリスク軽減

欠点
・生涯繁殖不能となる。
・太りやすくなる
・避妊の時期によっては関節の問題がでる
・ごくまれに尿漏れがみられる


◆避妊手術で病気の回避および
リスクの軽減が期待できる代表的な病気

① 子宮蓄膿症
子宮に膿がたまる病気で
発情後平均8週間以内に発生が多いとされています。

子宮蓄膿症の自然発生率は0.6%程度ですが、
9歳以上の未避妊犬における発症率は
66%以上という報告もあります。
平均発症年齢は、5~10歳程度です。


② 乳腺腫瘍
乳腺が腫瘍化してしまう病気で、
良性と悪性の腫瘍がありますが、
犬の場合50~70%は良性腫瘍です。

避妊していない犬に
最も多くみられる腫瘍です。


③ 卵巣・子宮腫瘍
腫瘍の種類は多岐にわたりますが
雌性ホルモンの暴露低減により
一部の腫瘍の発生率は軽減され ます。

わんちゃんの卵巣疾患で最も多いのは、
卵胞嚢腫と呼ばれる病気で
5歳以上の無作為に調査した犬の
16%で発見された報告があります。

主な症状は、
発情出血の持続、発情延長、
乳腺の嚢胞性過形成などです。

子宮に腫瘍ができることもあります。


◆いつ頃避妊手術をすればいいの?
乳腺腫瘍抑制の観点から
性成熟・発情前に行うのが良いとされています。
女の子のわんちゃんの場合、
初回発情は生後6~8ヶ月とされています。

以前は早すぎる避妊は発育不良や
色々な問題を起こすと言われていました。

特定の大型犬種においては早すぎる避妊手術は
関節の異常や特定の腫瘍のリスクが指摘されています。


小型犬種で関節症が低い犬種では
乳腺腫瘍抑制のため初回発情前の避妊手術、
大型犬種など関節症の影響が生活の質に大きくなる場合は
1~2歳での避妊手術も検討します。

*この統計のように、わんちゃんは発情2回目以降の避妊手術での乳腺腫瘍の予防効果が低くなります。
乳腺腫瘍の予防のためにも、初回発情での避妊手術をお勧めいたします。


◆避妊手術の流れ

◆手術後、入院しなくて大丈夫なの?
基本的に入院の必要はありません。

当院ではお預かりの時間を短くすることや、
手術時間の短縮、傷口の小さな方法での手術により、
わんちゃんにかかるストレスや
痛みを出来る限り軽減しています。

そのため当日退院することが可能です。

*わんちゃんも人間と同じように個体差があります。
 術後の様子の判断で入院をする可能性もあります。

◆避妊手術後の傷口
当院では出来る限り小さくストレスのない
切開にするように心がけています。

術式やわんちゃんの体格によりますが
1.5~2cmほどの傷口になります。

避妊手術は利点と欠点を比べても利点の方が多く、
繁殖の予定がない女の子は行った方が良い予防手術です。

今後長くご家族となるわんちゃんの健康のためにも、
避妊手術は出来る限り行いましょう。