DOG

犬の去勢手術について

去勢手術とは精巣を摘出する手術で、
第一の目的は男の子の繁殖能力を取り除くことにあります。
また精巣は雄性ホルモンを産生する場所でもあるため、
ホルモンが関与する問題行動や
病気の軽減にも効果があると言われています。


◆去勢手術の利点と欠点

利点
・尿マーキング行動の軽減
・放浪行動の軽減
・マウンティングの軽減
・一部の攻撃行動の軽減
・前立腺疾患のリスク軽減
・会陰ヘルニアのリスク軽減
・肛門周囲腺腫のリスク軽減
・精巣腫瘍のリスクがなくなる

欠点
・生涯繁殖不能となる
・太りやすくなる
・去勢時期によっては関節疾患のリスク

*男の子のマーキング・マウンティング・攻撃行動は、
本能行動や学習による習慣化など様々な要因が影響するため
去勢により完全にこれらの行動がなくなるとは限りません。
また、去勢手術により噛み癖が減少するという報告もあります。


◆去勢によりリスクが軽減できる代表的な病気
・前立腺過形成
ヒトの男性で高齢の方が罹患しやすい病気で
前立腺肥大というものがあります。
精巣から放出されるホルモンによる影響で、
前立腺が大きくなり、尿が出にくくなったりすることで有名です。
実はわんちゃんにも似た病気があり、
ヒトとの症状は異なるものの6歳以上の
未去勢のわんちゃんで多く見られます。
前立腺過形成は、よほど進行しない限り症状は示しませんが
前立腺に細菌が感染し膿瘍(膿の袋)(前立腺膿瘍といいます)ができると
内科的にも外科的にも治療が困難なため重篤になり、命にかかわります。


◆いつ頃去勢をすればいいの?
女の子の避妊手術ほど制約はありません。
性成熟・発情期は、犬種や個体により差がありますが
生後6~12ヶ月といわれています。
特定の犬種では早すぎる去勢は関節の異常や
特定の腫瘍の発生率が上がることが示唆されています。

去勢手術を行う時期として
小型犬種では1歳前後までに行えば
マーキングなどの問題を避けられます。

大型犬種では関節の問題が出やすいので
体がしっかり成長しきる1~2歳ごろの去勢が良さそうです。


◆当院の去勢手術の流れ

去勢手術は利点と欠点を比べても利点の方が多く、
繁殖の予定がない男の子は行った方が良い予防手術です。

今後長くご家族となるわんちゃんの健康のためにも、
去勢手術は出来る限り行いましょう。