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免疫介在性溶血性貧血(IMHA)

免疫介在性溶血性貧血は、

自分の赤血球(血液の成分で酸素を運ぶ成分)を

異物と認識して免疫機構が攻撃して貧血がおこる病気です。

命にかかわることが多い病気とされています。



◆原因 

免疫の異常により、

自分の赤血球を攻撃し貧血がおこります。

原因をはっきりさせることは多くの場合困難ですが、

感染症や薬、腫瘍が引き金となる場合もあります。


どんな犬種にも起こりますが、

コッカースパニエル、シーズーに多く、 

比較的中年齢の雌犬が多いと言われています。



◆症状 

元気や食欲が低下し、

貧血によって低酸素になるため呼吸が荒くなります。

貧血が進むと歯肉や舌が白くなります。

また白目の部分や皮膚が黄色くなったり、

尿が濃い黄色やオレンジになる

黄疸と呼ばれる状態になります。


このような症状は数日かけて徐々に現れる場合と、

急激に現れる場合があります。



◆検査と診断 

血液検査で貧血や黄疸を確認し、

血液を顕微鏡で確認することで病気の特徴である

変形した赤血球を確認します。


また身体検査でも黄疸や貧血を確認します。

場合によっては外部の検査機関に

免疫の検査を依頼する場合もあります。

他の免疫異常があるか判断するため、

レントゲンや超音波検査を行う場合があります。



◆治療 

自分の免疫が原因となっている病気なので

免疫を抑制する治療を行います。


急性で貧血が進行する場合、

命にかかわるので

即効性を考慮しステロイドによる

免疫抑制を行う初期治療の主体になります。


ステロイドの反応が悪い場合には、

他の免疫を抑制する薬を使用します。

病態によっては点滴を行い、

酸素吸入を行う場合があります。

貧血が重度に進行した場合は輸血を行います。

この病気は再発率が高く、

再発すると治療に反応する確率が低くなります。


この病気は播種性血管内凝固といった

致死的な二次障害を引き起こすこともあり

急激な貧血の進行と合わせて

非常に危険な状態になります。



◆予後 

治療開始の時期および病態にもよりますが、

おおよそ30%が死亡するという報告もあります。

早期に診断・治療することで予後も良くなります。