DOG

椎間板ヘルニア ~症例紹介①②~

症例紹介①
ミニチュアダックス 12歳 男の子

◆症状
来院前日、背中を痛がるしぐさがあり、抱かれるのを嫌がっていました。
また食欲も無くなっていました。
来院当日、初めは歩いていましたが診察中に後ろ肢を引きずるように急に進行してきました。

◆検査
レントゲン検査・血液検査・神経学的検査より、
椎間板ヘルニアが強く疑われた為、MRI検査を行いました。
検査の結果、多発的に椎間板物質が突出し脊髄を圧迫していることが確認されました。

◆治療
なかでも胸骨12-13椎体間での圧迫が著しく、症状を出している場所と考え手術を行いました。

手術後1週間は、自分で排尿が出来ず、また後ろ肢に力を入れることができませんでしたが
8日目に自力で立つようになり、その後は順調に回復していきました。
手術翌日から少しずつリハビリを始め、
現在では自力排尿もでき走り回れるまでに回復しました。


椎間板ヘルニアで重要な事
椎間板ヘルニアは一般的に立てなくなる病気であると周知されています。
事実、手術適応となる症例のほとんどが立てない状態であり、状態が悪いと生涯立つことができなくなる病気です。
しかし実際立てなくなることよりもっと重要な事があります。
様子をみてしまったり、ヘルニアの逸脱が重度の場合、重症になる場合がありますが
椎間板ヘルニアの重度症例のうち数%で脊椎軟化症という病気をおこし死亡する事が報告されています。
脊椎軟化症は現在治療法がなく、発症から数日で100%死亡します。
また椎間板ヘルニアは脊髄を圧迫するため、排尿ができなくなったりウンチを漏らしてしまいます。
排尿が出来なくなると1日最低2回は管などを使って、生涯排尿させなくてはなりません。
排尿させないと急性腎不全で亡くなってしまいます。

これらの事はワンちゃんにとっても、飼主様にとっても立てなくなるよりも辛い事です。
これらの事を起こさせないためにも、ヘルニアの症状を疑いましたら早めの受診をお勧めいたします。



症例紹介②
フレンチブルドック 3歳 女の子 

◆症状
突然立てなくなり来院されました。
後ろ足の感覚も鈍く起立不能の為、椎間板ヘルニアを疑いました。

◆検査
レントゲン検査・血液検査・神経学的検査を行い、MRIを行った結果
椎間板ヘルニアと診断しました。

◆治療
脊髄の圧迫が重度で、後肢の麻痺も見られたため、手術を行いました。

術後2日間は痛みを感じていましたが、
3日目から状態が良化し排尿時に腰を上げるようになりました。
また術後のリハビリも行い、リハビリを行う大学機関とも共同で治療を行いました。
手術後の経過は順調で、現在は同居しているブルドックと遊べるくらいまで回復しました。

椎間板ヘルニアはミニチュアダックやコーギーに多く発生する病気だと知られています。
しかし動物保険会社の統計をみると、椎間板ヘルニアの保険請求件数はフレンチブルドックが1位になっています。
つまりフレンチブルドックは椎間板ヘルニアの好発の犬種であることがいえます。
フレンチブルドックの飼主の方は、なるべく腰に負担のかからないようにし、
少しでも背中を痛がるような症状が見られたら早めの受診をお勧めいたします。